工作機械の安全対策の重要性は？事故例や対策するメリットについて解説！

工作機械の安全対策はなぜ重要なのでしょうか。そもそも機械安全とはどのような意味なのか、よくわからないという方も多いでしょう。この記事では機械安全の定義と目的、機械安全に関する法律や基準を解説していきます。機械安全を守るための主な方法や、機械事故の発生状況と原因についても見ていきます。機械事故が企業へ与える損失や機械安全のメリット・事故例などを踏まえながら、適切に活用していきましょう。

1.機械安全の基礎知識

1-1.機械安全の定義と目的

機械安全とは工作機械やロボットなどの機械を使う際、人や物に危害が及ばないように機械を設計する考え方です。たとえば扉を開けたらモーターが止まるようにしたり、モーターが止まるまでは扉が開かないようにしたりします。作業者や周囲の人々の命や健康を守ることが目的です。

1-2.機械安全に関する法律や基準

日本では労働安全衛生法で、作業者が危険な状況にさらされないようにする項目が定められています。事業者は業種・職種・雇用形態などに関わらず、新たに雇用された労働者や作業内容が変更された労働者に対して、遅滞なく安全衛生教育を実施しなければなりません。一部省略が認められる場合もあります。しかし教育内容は労働者が従事する業務に関連する、安全・衛生のために必要な事項です。また危険・有害な業務については特別教育が必要であり、資格がなければ就業は禁止されています。

1-3.機械安全を守るための主な方法

電気機器メーカー大手のオムロン株式会社は、「安全を確保するためには、機械が故障しても、作業者がミスをしても、安全に使用できる機械でなければなりません。「人は間違える」「機械は故障する」という考えに基づき設計をすることが、機械安全の基本です」と述べています。機械による災害防止の原則として「人と機械の作業空間を分離する（隔離の原則）」と、また「人と機械を時間的に分離する（停止の原則）」を示しているのです。 2.機械安全の重要性 機械安全を徹底することは何が重要なのでしょうか。ここでは機械事故の発生状況を混じえつつ、機械事故が与える企業への損失や、機械安全によるメリットについて説明しましょう。

2-1.機械事故の発生状況と原因

「トラクターが崖から落ちて死んだ」「丸ノコで指を切った」「プレス機に挟まれた」など、これらはすべて「機械事故」と呼ばれる労働災害です。すべてが機械事故とは決して言い切れません。しかし厚生労働省によると、令和2年度の全業種において「はさまれ・巻き込まれ」が、原因による死傷者は13,602人出ています。このうち死者は126人です。とくに製造業や建設業で多く「はさまれ・巻き込まれ」による事故が起きています。 機械事故の原因は、大きく分けてふたつあります。「物」の問題と「人」の問題です。「物」の問題とは、たとえば壊れていたり使い方がわからなかったりする機械となります。「人」の問題とは、注意力が足りなかったり無理をしたりする行動です。

2-2.機械事故の影響とコスト

機械事故は被災者だけではなく、企業も大きな損失を被ります。たとえば以下のような損失があります。 ・作業が止まったり品質も落ちたりして費用がかさむ ・保険会社から高いお金を払わされる ・お客様や社会からの信用を損なう ・労働者が辞めてしまう

2-3.機械安全による労働者や企業の利益

機械安全は労働者や企業にとって大きな利益があります。たとえば以下のようなものです。 ・労働災害の減少による人命・健康の保護 ・作業効率や品質の向上による生産性・収益性の向上 ・法令遵守や信頼性の高さによる競争力・イメージの向上 ・安心・安全な職場環境による人材確保・育成

3.扉が開いた状態で誤作動した事故例

実際に工作機械が関係している事故例には、どのようなものがあるのでしょうか。ここでは扉に関する事故例をご紹介しましょう。 工作機械では扉を開けて中身を確認したり、清掃したりする場面があります。しかし扉を開けたままモーターが動いてしまうと、大変危険です。実際に扉が原因の事故は多く発生しています。たとえば工場のミキサー内部を清掃する際です。準備としてスクリューの位置を確認しようと、扉の開閉スイッチを「開」に入れて扉を開きました。そして目視で確認した際に扉が誤作動したのちに、指が挟まれたという事故もあったのです。

4.まとめ